相続申告を税理士に依頼する場合の費用とは?相場を知って節約!
- 相続税コラム
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相続が発生したとき、ご家族にとって申告期限内に数多くの手続きを済ませるのは大きな負担です。相続税申告は専門的な知識を要し、もし申告に誤りがあれば追徴課税や加算税といった余計な出費につながることもあります。そのため、多くのご家庭では税理士に依頼するケースが一般的です。そして気になるのが、その費用です。
目次
『遺産総額の0.5〜1%+加算費用』が多い
かつては、日本税理士会連合会が全国一律の「税理士報酬規定」を定めていましたが、2002年に撤廃され、現在は各税理士が独自に料金を設定できる「自由料金制」となっています。
その中でも多くの事務所が採用しているのが『遺産総額の0.5〜1%+加算費用』です。
遺産総額には土地や建物、金融資産などすべての相続財産が含まれ、加算費用は相続人数、土地の数、非上場株式の有無、保険契約や銀行口座の件数、海外資産の有無などによって決まります。特に評価が難しい不動産や海外資産がある場合は、手間が大幅に増えるため費用も高くなりやすい傾向にあります。
遺産総額別の申告費用目安(1%計算の場合)
遺産総額 | 申告料金 |
---|---|
~5,000万円 | 25万円+加算費用 |
~6,000万円 | 30万円+加算費用 |
~7,000万円 | 35万円+加算費用 |
~8,000万円 | 40万円+加算費用 |
~9,000万円 | 45万円+加算費用 |
1.0億円 | 50万円+加算費用 |
加算費用を詳しく解説
例えば・・・
- 遺産総額1億円がすべて現金で、一人の相続人に相続する場合
- 遺産相続が現金、土地、海外資産で分かれていて相続人が5人とした場合
の場合の税理士の相続税申告の手間は大きく変わってくるため費用が変動します。
このようなケース以外にも、不動産であれば評価が難しい物件というものがあります。評価の難しい物件では複数の評価論点があることもあり、評価難易度が高い不動産は費用がかさみやすいです。また、海外資産を所有している場合には翻訳や通貨換算、資料収集が必要となり、作業負担や難易度が一気に増えてきます。相続税申告を担当する税理士の得意とする分野かどうか、カバーできる領域かどうかでも料金が変動しやすいので納得して依頼するためには相見積もりを取ることが需要です。
また、難易度の高くない案件においては相続人の人数、土地の筆数、非上場株式などによって、予め作業単価を設定してあり、それを元に計算されることがあります。
各税理士によって異なりますが、加算費用の料金例として以下を挙げます。
加算費用の科目例、料金例
相続人数 | 3万円前後/一人あたり(一人の場合は不要) |
---|---|
土地評価 | 3〜6万円/1筆あたり |
非上場株式 | 10万円〜/1社あたり |
銀行口座 | 1万円/1行あたり |
生命保険 | 1万円/1契約あたり |
申告費用をシミュレーション
以下のシミュレーションは『相続人数=総額の10%/一人当たり』『土地の数=6万円/1ヶ所』『非上場株式の数=10万円/1社』とした仮定した場合です。銀行口座や生命保険は料金が発生しない場合もあるため除いています。
遺産総額 |
万円
遺産総額小計:0万円
|
---|---|
相続人数 |
人
相続人数小計:0万円
|
土地の数 |
ヶ所
土地の数小計:0万円
|
非上場株式の数 |
社
株式小計:0万円
|
申告費用のモデルケースを紹介
申告費用のモデルケースを二つほど、紹介します。
遺産総額5,000万円、相続人3名の場合
財産の内訳
自宅土地 | 1筆 |
---|---|
自宅建物 | 1棟 |
銀行口座 | 3行(本) |
生命保険 | 1契約 |
相続人数 | 3人 |
相続税申告報酬の内訳
基本報酬は価格を抑えて、総額に対して0.5%、その他、土地や建物の評価が簡単なものを想定しています。
基本報酬(遺産総額5,000万円) | 25万円(0.5%の場合) |
---|---|
土地評価 | 3万円(1筆) |
建物評価 | 2万円(1棟) |
銀行口座 | 1.5万円(@5,000円×3行) |
生命保険 | 2万円(1契約) |
相続人数 | 6万円(@3万円×2人、1人分は不要) |
申告報酬合計 | 39.5万円 |
遺産総額1億円、相続人4名の場合
財産の内訳
自宅土地 | 2筆 |
---|---|
賃貸物件 | 1棟 |
銀行口座 | 5行(本) |
非上場株式 | 1社 |
相続人数 | 4人 |
相続税申告報酬の内訳
以下のケースでは基本報酬は価格を抑えたものの、土地の評価が難しい場合を想定しました。
基本報酬(遺産総額1億円) | 50万円(0.5%の場合) |
---|---|
土地評価 | 3万円(1筆)+10万円(評価難) |
建物評価 | 8万円(1棟) |
銀行口座 | 1万円(@5,000円×2行) |
相続人数 | 9万円(@3万円×3人、1人分は不要) |
申告報酬合計 | 81万円 |
相続税申告の手数料は意外に高い
相続税申告費用のモデルケースを見て「高いな」と感じた方もいるかと思います。
相続税申告の報酬は自由化されていて事務所ごとに差が大きいため、一度、相見積もりを取得されることをおすすめします。
また、『総額で○○万円以内に抑えたい』と本音をぶつけてみるのも有りでしょう。ただ、財産の評価には専門の知識が必要になるため、複雑な場合は、『金額が高くても評判が良かったり、相続税を専門に行なっている事務所を選ぶ方が結果的に良かった』という場合もあるので注意してください。
相続税申告の手数料を下げる方法
まずは前提として相見積もりを取得すること
税理士によって報酬規定はバラバラなので数十万円といった差が出ることも多いです。まずは相見積もりで相場を知ることが大切です。
口座、株式銘柄の整理
銀行口座や株式銘柄が多いほど「加算費用」が発生しますので、事前に休眠口座の解約や証券会社の集約をしておくといいでしょう。
余裕を持って依頼する
急な相続税申告の依頼の場合、特急料金が加算される場合があります。
余裕を持って依頼することで料金交渉もしやすくなるでしょう。
財産科目に合わせた税理士事務所を選ぶ
税理士によって見積もり方法がバラバラな傾向があります。例えば遺産総額に応じた報酬制のみの場合や、遺産報酬+財産件数のところもあります。相見積もりでご自身に合う税理士事務所を見つけましょう。
まとめ
相続税申告を税理士に依頼する場合の費用は、遺産総額や財産の種類、相続人数によって大きく変わります。
費用を抑えるためには、複数の税理士から相見積もりを取る、銀行口座や株式銘柄を整理して件数加算を抑える、早めに依頼して特急対応を避けるといった工夫が有効です。
ただ、相続税申告は専門性が高く、節税対策や特例の適用によって将来の負担にも大きく影響します。そのため、「なるべく安く」という視点だけでなく、経験豊富で信頼できる税理士を選び、費用とクオリティのバランスを取ることが重要です。